ラヴィ君のピーターパン

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最終話

船長は叫ぶのと同時に、その体を大きく反らした。キャプテン・ツィアの必殺技、"イナバウアー"である。 この姿勢で滑り、突進する威力は絶大(船長談)である。 もはやラヴィは絶体絶命と思われた・・・が、

ぐあぁぁっ・・・!

船長は急に苦悶の声をあげた。

・・・あれ?

背中が曲がらないのかな?

船長の体は柔軟性に欠いていた。反り返きらなかった体は、一気に床に倒れこみ・・・いや、どうにか倒れまいと船長は踏ん張った。 しかしその姿勢はもはやイナバウアーではなく、ブリッジだった。

あられもない姿に。

ま、まだ終わりではありませんわ!
必殺! ゴキ・ウォーク!!

船長はブリッジの姿勢のまま肢体を巧みに動かし、歩き回り始めた。まるで虫が這うかのように。キャプテン・ツィアの第2の必殺技、"ゴキ・ウォーク"である。 この姿勢で歩き、与える精神的苦痛の威力は絶大(船長談)である。

ふふふっ、ふはははっ!

いやあぁぁっ!!

必殺! 超ツッコミ!!

必殺技がキm

ラヴィが超ツッコミを繰り出そうとしたその時、船長の動きが不意に止まった。

ぐあぁぁっ・・・!

船長は急に苦悶の声をあげた。

・・・あれ?

足をつったのかな?

船長の手足は激しく痙攣していた。もはや船長には必殺技を繰り出す力もなかった。ツッコミを喰らう前に自滅したのである。

さ、さぁて、このへんで帰るとするっすかね。

そうですねー。

このままでは終われませんわ! うおぉぉ・・・!!

ゴキ・・・いや、ブリッジのまま反り返った船長の体から、ダークエナジーが放出された。 その黒い無数の帯は、矢や槍のごとく飛び散り、船のあちこちを貫きだした。

ぐはっ・・・このまま、こ、この船と共に海の藻屑になるがいいわ・・・!

ブリッジのまま後ろ向きにしゃべってると、マヌケっすね。

は、早く脱出しないと!

その時、今まで大ジャンプの障害になっていた帆が、黒い矢によって砕かれ、空間が広がった。不幸中の幸いである。 しかし時間はなかった。船底が貫かれたのだろうか、大きく揺れながら船体は沈んでいく。

わわわ・・・

ラビラビの二段ジャーンプ!!

ラヴィは大きく飛び上がった。そして飛散してくるダークエナジーをかわすように更に空中ジャンプ。 ラヴィは海賊船を脱出することに成功した。沈み行く船を、そして船長を見下ろしながら・・・。

ラビィ!!

ただいまっす、ティンカーベル。

帰ってきて良かった・・・。で、ウェンディは?

・・・

ああっ! 船に忘r

待てコラ。


 (終わり)